【ゴー宣欄外名言 その7】
わしは知識人に対し、一応敬意を払って、注意深く耳を傾ける。その場でヘンだと思っても、ひょっとしてわしの知識不足からくる誤解かも、と帰る道すがらじっくり考える。車が家に到着する頃、完全にむこうが間違っているとわかる。すると、もーれつに腹立たしくなる。知識人に対して失望を感じ、わしがやり続けてなきゃ日本はおしまいだと思って闘志がわく。だから、わしに闘志をわかせる知識人にも感謝する。人が良すぎるんかな、わしって。
(SAPIO 1997.2.5)
よしりん先生の主張がなぜ常にアップデートし続けていて、常に説得力を持つのか、その秘訣の一端が見える名言です。
よしりん先生ほど、自分に対する批判や反対意見をよく聞く人はいません。
上は、パーティーの席で知識人が面と向かって居丈高に批判してきた時のことを書いているのですが、そのような場合に限らず、メディアで批判された際や、直接の批判ではなくても、自分とは異なる意見を眼にした場合でも、「ヘンだと思っても、ひょっとしてわしの知識不足からくる誤解かも」と、一度は相手の方が正しいのではないかという視点で考えてみるのです。
その上で、完全にむこうが間違っているとわかれば、そういえる理由や、どう話せば効果的に反論できるかを整理して、自分の主張をより確かなものにしていくし、滅多にないけれども相手が正しいとなれば、意見を変えることも躊躇しないのです。
そんな真摯なことをやっている知識人が他にいるでしょうか? 批判や異論など一切読まずに、自分は正しいと決めている人ばっかりじゃないでしょうか?
ましてや、自分を批判してくる相手に「わしに闘志をわかせる知識人にも感謝する」と言える人なんて、まずいないんじゃないでしょうか?